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『棒になった男』(ぼうになったおとこ)は、安部公房の戯曲。「鞄」「時の崖」「棒になった男」の3つで構成されるオムニバス形式の演目である。各景はそれぞれ人間の「誕生」「過程」「死」を象徴し、第一景では人間が「鞄」、第二景では「ボクサー」、第三景では「棒」であったりする〔安部公房「後記」(『棒になった男』)(新潮社、1969年)〕。 1969年(昭和44年)、雑誌『文藝』1月号に「鞄(一幕)」が掲載され、同年、雑誌『文學界』8月号に「棒になった男」が掲載された。同年9月20日に「時の崖」を加えた単行本が新潮社より刊行された。初演は同年11月1日に安部の演出により紀伊國屋ホールで上演された。翻訳版はドナルド・キーン訳(英題:The Man who turned into a Stick)をはじめ、各国で行われている。現在まで国内外で多数上演され続けている。 == 作品成立・主題 == 第一景「鞄」は、ラジオドラマ『男たち』(1968年)を戯曲化したもので、第二景「時の崖」は、ラジオドラマ『チャンピオン』(1963年)を小説化した『時の崖』(1964年)を、さらに戯曲化したものである〔「作品ノート22」(『安部公房全集 22 1968.02‐1970.02』)(新潮社、1999年)〕。第三景「棒になった男」は、小説『棒』(1955年)をラジオドラマ化した『棒になった男』(1957年)を、さらに戯曲化したものである〔。 舞台にかける配列は、書かれた順序とそっくり逆になっているが、安部公房によると、3つの景は最初から1本の作品にまとめるつもりで計画的に書いたわけではないが、意識したときには、この3つはすでに1つの作品として目の前に在り、何のためらいもなく、ごく必然的にこの組み合わせを受容していたという〔。 また安部は、「鞄」「ボクサー」「棒」は各景を通じて必ず同一の俳優が演じなければならないと指定し、この3つの役を演じる俳優が一見無関係に見える各景を有機的に結びつけ、隠された内部の主題をあらわにする「鎖の役目」をすると説明している〔。 戯曲全体のねらいについては、「お化けですよ。人間以外の化けものが日常的に存在している現代の状況をそのままの形で出す。舞台を鏡のようにして、観客の一人ひとりの実像を写し出すことをねらっています。観客とじっさいには対話はしないが、一種の対話劇です」と説明し〔安部公房「談話記事 お化けをそのまま観客に」(サンケイ新聞、1969年10月4日に掲載)〕、聞き手の金田浩一呂が、第一景では、カバンになった男より、そのカバンをあけることをこわがる女性たちへの風刺劇ともとれるという感想を述べたことに対しては、「いや、舞台にかければわかりますよ」とだけ答えている〔。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「棒になった男」の詳細全文を読む 英語版ウィキペディアに対照対訳語「 The Man Who Turned Into A Stick 」があります。 スポンサード リンク
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